File No.23 「ファントム・ブルワリー」
ブルワリーの形態に「ファントム・ブルワリー」と言われるものがあります。
クラフトビールの世界には、自分の醸造所を持たず、他所の設備を借りてビールを造るスタイルが存在します。
それが「ファントムブルワリー」。
「ジプシーブルワリー」と呼ばれることもあります。
正確な定義はやや曖昧ですが、以下のようにイメージしてください。
🧙♂️ ファントム・ブルワリー(Phantom Brewery)
→ 自社設備なし。ブランドとレシピを持ち、他ブルワリーに委託して造る。
→ CBP(うち)もこのスタイル。
🎒 ジプシー・ブルワリー(Gypsy Brewery)
→ 醸造所を転々とし、いろんな場所で造ることが多い。
→ Mikkeller(デンマーク)が有名な例。今は自社設備もあるけど、元は完全にジプシースタイル。
■このスタイルのメリット
・初期投資が少なく済む
・スモールバッチでいろんな実験ができる
・いろんな設備・技術に触れられる
・土地や人との繋がりが生まれやすい
■デメリット
・安定供給が難しい
・発注量やスケジュールの制約
・委託先に左右される品質管理
有名な例では、
▶︎Mikkeller(ミッケラー) – デンマークの代表格。ジプシーの代名詞。
▶︎Evil Twin Brewing(イーヴルツイン) – Mikkeller創業者の双子の弟、イェッペによるブランド。
▶︎Stillwater Artisanal(スティルウォーター) – アメリカの音楽家が立ち上げたコンセプチュアルなブランド。
▶︎To Øl(トゥ・オール) – Mikkeller出身者による。近年自社設備も一部保有。
▶︎Omnipollo(オムニポロ) – スウェーデンの人気ブランド。デザイン性も評価が高い。
▶︎Clown Shoes (クラウン・シューズ)アメリカの元ファントム。Mass Bay Brewingに買収された。
そしてCBPも、もちろんこのスタイルです。
設備は無いけど、確かに存在しています。(認めない人も多いかもしれませんが)
レシピや設計は完全にこちら側にあるので、思い切ったビールや尖ったビールが造れます。
最近では、醸造免許が下りるまでの期間に、他社で造らせてもらったり、委託で造ってもらっているブルワリーも珍しくなくなりました。
「どこで造ってるか?」も大事ですが、「誰が設計し、どんな意図で造っているか?」こそが重要なんじゃないかと思います。
ちなみにCBPの25作目は、もう完成してます。いつもの場所で造った「尖りっぱなし」の設計のビールです🍻