File No.15「ペールモルト」
最近はホップばかり取り上げてきましたが、今日はビールの“土台”となる【モルト】の話をしましょう。
モルト(麦芽)は、ビールの甘み・ボディ・色・アルコールの元となる重要な原料です。
なかでも「ペールモルト」は、クラフトビールの世界で最もよく使われるベースモルトです。
💡ペールモルトとは
その名の通り、色が淡い(ペール=pale)麦芽で、軽やかな香ばしさとマイルドな甘さが特徴です。
いわば、全体を支える“舞台装置”みたいな存在。ホップが役者だとしたら、ペールモルトは舞台美術といったところでしょうか。
一般的には以下のような種類があります:
🔸Pilsnerモルト
- 淡色。ラガー系やクリアなIPAに使われます。すっきり感をだせるモルトです 。
🔸Pale Aleモルト
- 少しだけ色が濃く、香ばしさがプラス。イングリッシュエールやペールエール向き。
🔸2-RowやMaris Otterなど
-🍺 2 Row(ツーロウ)
アメリカを中心に世界中で使われるスタンダードなベースモルト。
• 特徴:
• 味わい:クリーンでクセが少ない。ほんのり麦の甘み。
• 色味:淡く、仕上がりが明るいゴールド〜ブロンドに。
• 香り:控えめで、ホップや副原料を活かす設計に向いている。
• 用途:アメリカンペールエール、IPA、ラガーなど汎用性抜群。
IPAをはじめとする「ホップ主役」のビールではほぼ定番。
-🍺 Maris Otter(マリスオッター)
1960年代にイギリスで開発された伝統的な2条大麦種。
イギリス系エールには欠かせないプレミアムベースモルト。
• 特徴:
• 味わい:ナッティ(ナッツのよう)で、ビスケット感や深みのある麦の風味。
• 色味:やや濃い目のゴールド。クラシカルな色合いに。
• 香り:豊かでモルティ。ホップよりモルトの厚みが主役。
• 用途:ビター、ポーター、ESB、イングリッシュIPAなど英国系スタイル。
クラフトビールでは、このペールモルトをベースに、キャラメルモルトやローストモルトを“調味料”のように加えて、味の幅を作っていきます。
つまり、ホップで香りを作り、モルトで骨格を作るということ。
ビールの面白さは、香りだけじゃなく“ベースの味”にもあるのです。
ホップだけじゃなく、モルトにも注目してみると、ビールの幅がぐんと広がります🍺