IBU(International Bittering Unit)とは「どれくらい苦いか」を数値化した指標です。数値が高いほど「苦い」とされていますが、味としての「苦さ」とは イコールではありません。
IBUは、ホップの中にある「アルファ酸(α酸)」が熱でイソメリ化(Isomerization)して、苦味成分になることで生まれます。
▶︎アルファ酸の量
▶︎煮沸時間(どれだけ煮込んだか)
▶︎ビールの比重(糖の量)
▶︎使用したホップのグラム数
▶︎仕込みロット(バッチ)のサイズ
これらが計算式に関わってきます。
ざっくり計算式は、
IBU = (ホップの重さ(g) × アルファ酸% × 利用率 × 1000) ÷ バッチサイズ(リットル)
▶︎ホップの重さ:何グラム入れたか
▶︎アルファ酸%(AA%):ホップに書いてある成分値(例:Magnumは13%とか)
▶︎利用率(Utilization):煮沸時間による変動
• 60分煮込むと約25%くらい
• 30分で15%、10分で5%程度
▶︎バッチサイズ:ビール全体の量(20Lとか1000Lとか)
以下、超ざっくりな計算例です
•Magnumホップを30g使う(AA=13%)
•60分煮込む → 利用率25%
•バッチは20L
といった場合の計算式は、
IBU = (30g × 0.13 × 0.25 × 1000) ÷ 20L
= (0.975 × 1000) ÷ 20
= 975 ÷ 20
= 48.75 IBU
となります。
苦味は「煮沸の時」に出るというのを踏まえて、以下注意点です。
▶︎ドライホッピングではIBUは(ほぼ)上がらない
▶︎アロマホップ(10分未満)はほぼ香り用。IBU貢献は少なめ
▶︎麦汁が濃いと利用率が下がる(重い糖で抽出されにくくなる)※1
次に味覚としてのIBUですが、実際には、甘み・酸味・香りとのバランスで「苦い/苦くない」が変わります。
たとえば:
▶︎Hazy IPA → 40 IBUでも苦く感じない(甘み・香りがカバー)
▶︎ドライなWest Coast IPA → 60 IBUでもすっきり(甘味が特にカバー)
▶︎セゾンやピルスナー → 30 IBUでも苦味が際立つことも
ということで、ざっくりまとめますと・・・
▶︎IBUは「ビターホップの設計」が反映される技術指標
▶︎苦味の体感とは必ずしも一致しない
▶︎アロマやドライホップはほぼIBUにカウントされない
▶︎Hazy系やモダンなIPAでは「IBUが低いのに苦く感じる」こともある
※1 利用率の計算
利用率は麦汁の重さ(比重)が高くなるほど下がります。
▶︎Bigness Factor = 1.65 × 0.000125 ^ (OG – 1.0)
▶︎Boil Time Factor = (1 – e^(-0.04 × 煮沸時間)) ÷ 4.15
ここで時間を増やしても頭打ちになって、それ以上増えないらしいです。(最大値は120分)
しかも、60分との差は0.02ほどしかない挙句、フレーバーの消失、エグ味が出るなどのデメリットが出ます。
利用率の観点から言うと、時間は最大60分。比重が重いと苦くなりにくい、という事です。