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AI小説「IPA本舗」第15話

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第15話「佐川の正体」

翌日の昼過ぎ、青山はカウンターで仕込みの合間にスマホを取り出し、佐川に電話をかけた。呼び出し音の後、佐川がすぐに応答する。

「おお、青山さん。どうも。」

「佐川さん、一つ確認したいことがあって。フレッドに声をかけたのって、やっぱり佐川さんですよね?」

佐川は一瞬黙り、続けて申し訳なさそうに言った。「そうです。出過ぎた真似をしてしまったこと、お詫びします。でも…」

青山は佐川の言葉を遮ることなく聞き入れる。

「でも、青山さん。正直なところ、僕は確信してるんです。あなたとフレッドさんのタッグなら、これまでの日本のクラフトビール業界の常識を変えられる。いや、それどころか、日本のクラフトビールを世界に引っ張り出せるんじゃないかって。」

その熱意のこもった言葉に、青山は少し息をつきながら「ずいぶん大きなことを言うな」と軽く笑った。しかし佐川は真剣そのものだった。

「冗談じゃないですよ。僕が何年も飲んできた中で、あなたのビールは確実にトップクラスだし、そこにフレッドさんの技術や感覚が加わったらどうなるか…考えただけでワクワクするんです。」

青山は佐川の意向を理解し電話を切った。

「フレッドと一緒に・・・か」

青山は呟き受話器を置いた。

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青山が佐川との会話を切り上げ、次のグラスを手に取ろうとしたその時、店のドアが勢いよく開いた。裕子が血相を変えて駆け込んでくる。

「青山さん、大変!!!」

その慌てた様子に、佐々木も驚いて振り返る。青山は冷静に声をかけた。「裕子さん、どうしたんです?」

裕子はカウンターに駆け寄り、息を整えながら言葉をつなぐ。「この前来てた佐川くん、実はやばいかもしれません!」

「やばい?どういうことですか?」

「数年前に、投資詐欺で逮捕されてたことを見つけちゃったんです…!」

店内が一瞬静まり返る。青山も佐々木も、裕子の言葉に驚きを隠せない。

「裕子さん、それ、本当なんですか?何かの間違いじゃ…?」青山は慎重に尋ねる。

裕子はスマホを取り出し、画面を見せながら説明を続けた。「これ、ネットで見つけた記事なんです。佐川隆一って名前と顔写真…間違いなく、あの人です。2017年に東京で高齢者を対象にした投資詐欺で逮捕されてたって。」

「投資詐欺で逮捕されて、その後執行猶予付きで出てきたみたい。でもそれ以降、どこで何をしてたのか分からないんです。」

佐々木が口を挟んだ。「それ、本当に本人か?同姓同名とか、似てるだけってことはないのか?」

「私も最初はそう思ったんです。でも顔もそっくりだし、年齢やプロフィールも一致してる…。青山さん、気を付けたほうがいいです。」裕子は真剣な表情で訴えた。

青山は腕を組んで考え込む。「確かに、それが本当なら放っておくわけにはいきませんね。けど、今の佐川さんがどういう人間なのかを知るのも大事です。一度本人に確認する必要があるかもしれない。」

「確認って…どうやって?」裕子が不安げに聞く。

青山はスマホの画面に目を通した。記事には佐川の写真とともに、詐欺事件の詳細が書かれている。

「直接話をするしかないでしょうね。向こうが何を考えてるのか、しっかりと確かめないと。」青山の目はいつになく鋭かった。

佐々木が苦笑しながら言った。「さすが青山さんだな。普通なら慌てふためくところを、冷静に考えるなんて。」

青山は軽く肩をすくめて答えた。「焦っても仕方ないですからね。ただ、万が一のことも考えておく必要はあります。何か裏があるなら、俺たちが利用されるわけにはいきませんから。」

裕子の懸念

「でも、佐川くん、すごく口がうまいじゃないですか。ああいう人が何か企んでるとしたら…騙される人も多いと思うんです。」裕子は不安そうに呟く。

「そうですね。でも、俺たちは簡単には騙されませんよ。これからの動きを慎重に考えていきましょう。」青山の言葉に、裕子は少し安心した様子を見せた。

その場は一旦収まり、青山は佐川との次の接触を慎重に計画し始めるのだった。しかし心の奥では、佐川の本性がどちらなのかを見極める必要性を強く感じていた。

【登場人物】

青山・・・IPA本舗店主

佐川隆一・・・投資家

フレッド・ジョンソン・・・ブルワー/Yamagata Brew Pubのオーナー

菅原裕子・・・常連客/スーパー店員

佐々木俊也・・・常連客/ビルオーナー

続きはまた今度