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AI小説「IPA本舗」第30話

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第30話「コンビニ展開」

ジオフィジクス・ブルーイングの新コアビール「Primary Wave」が、全国各地で大きな話題となったものの、まだ販路拡大には数多くのハードルがあった。新工場で大量生産体制は整い、青山、佐川、蓮見を筆頭に、営業部門の3人のスタッフ――高橋、山田、鈴木――がコンビニ各店舗へのサンプル提供に奔走することになった。

 

その日は朝早く、青山が佐川や営業の蓮見とともに、朝のミーティングを終え、サンプル缶をまとめたトレイを手に出発した。目的は、主要都市の大手コンビニチェーンの各店舗。全国展開を狙う大きな一歩のため、彼らは「Primary Wave」の魅力を直接店舗の購買担当者に伝えなければならなかった。

👿それ、コンビニの展示会でやれば良くね?

出発前、青山は静かに言った。「このビール、完成度は極めて高い。味わいは濃厚だけど飲みやすく、6.5%という度数も、飲む人に満足感を与える。だけど、価格は若干高いと感じるお客さんもいる。だから、我々の使命は、味の良さをしっかり伝え、納得してもらうことだ。」

 

そして、青山、佐川、蓮見、そして営業スタッフの高橋、山田、鈴木の6人は、まずは最寄りの仙台の大型コンビニがあるエリアへと向かった。

 

高橋が、トレイに積んだサンプル缶を整えながら、「この『Primary Wave』は、僕たちが自信を持って出す商品です。絶対に美味しいんですよ。ぜひ、試していただきたい。」と、笑顔で語る。

 

最初に訪れたのは、市内の人気コンビニチェーンの本部近くにある店舗。担当者の一人、若い男性がカウンターの近くに立って、サンプル缶を受け取った。

 

「はい、いただきます。」

 

彼は缶を開封し、すぐに一口飲んだ。数秒、顔をしかめると、「うーん、これは…苦味が強すぎるような気もしますね。うちのお客さんは、もっとライトな味を求めるんじゃないか?」と、遠慮がちな口調で意見を述べた。

 

高橋は少し困惑しながらも、「ありがとうございます。ですが、こちらは6.5%のウェストコーストIPAとして、しっかりとしたボディを持っているんです。個々のお好みはもちろんあると思いますが…」と説明を試みる。しかし、担当者は首を横に振りながら、「高い価格設定もあり、なかなか採用には踏み切れませんね。うちの販売ラインには合わないと思います。」と、冷たい返答をした。

 

その後、山田と鈴木も別の店舗へと出向いた。ある店舗では、年配の担当者がサンプルを口にした後、「うちのお客さんは、もっとシンプルな味わいが好みだ。こっちは高級志向というより、毎日買ってもらえるものがいいんだよ。」と、厳しい評価を口にした。

 

「この価格で、こんなに複雑な味わいは…」と、別の担当者は、ため息交じりに「高い、高い。無理だよ、こんなの」と呟く声もあった。

 

――――――

 

その中、ある一店舗での出来事が、事態を大きく変えることになる。

 

午後、鈴木がサンプルを持って出向いた中規模のコンビニ店舗に、ある担当者が現れた。彼は中年の落ち着いた男性で、店舗運営には長年携わっているという風格があった。鈴木がサンプル缶を差し出すと、彼は一口飲んでから、ふと目を輝かせながら、「これ、店に置くんですか? 本当に…こんなビール、こんな味がするなんて!」と大声で叫んだ。

 

その言葉に、鈴木は周囲の反応を気にするかのように、一瞬戸惑ったが、担当者の熱意に引き込まれ、続けた。「うちのオーナーにもすぐに報告しなければならない。」

 

数分後、その店舗のオーナーが現れ、鈴木と担当者が話しているのを確認すると、彼は熱心にサンプル缶を試飲した。

 

「うむ、これは…なかなか面白い。しっかりしたボディがあって、飲むたびに後味が広がる。うちのお客さんがこれを買う可能性、十分あると思うよ。」

 

その一言が、決定的な転機となった。オーナーは、熱心な購買担当者の意見を受け、すぐに発注の意思を固めた。

 

 

その日の帰り道、青山、佐川、蓮見、そして高橋、山田、鈴木の3人は、再び会議室に集まった。彼らは各店舗で得た厳しい意見と、あの一店舗からの大きな好評について、熱く議論した。

 

「全体的には、価格面での懸念が強かった。しかし、あの店舗のオーナーの反応は、すごくポジティブだった。」と、鈴木が報告した。

 

「あの店舗の担当者はジオフィジクスのこともよく知っていて、『これ、うちに置くんですか?』と叫んでくれました。あれは見逃せません。」と、付け加える。

 

「だけど、どの店舗も『高い、高い』という評価なんですよね。」山田がため息をつく。

 

「それは、我々の価格設定が、我々のブランド価値を反映しているからだ。『Primary Wave』はプレミアムな味わいであるが、価格はそれ相応。だからこそ、ターゲットは『高品質を求める顧客』に絞る必要がある。」と、佐川が重々しく語る。

 

鈴木は、「でも、あの店舗のオーナーみたいな方が出てくれば、我々の製品に対する信頼は一気に広がる。あの方の発注が決まれば、他の店舗もついてくる可能性が高いはずです。」と、力強く意見を述べた。

👿あれ?さっき発注を決めたって言ってたはずだよ💦

青山は、ゆっくりと全員を見渡しながら、真剣な声で宣言する。「我々は、全国展開を狙うには、まず、この『Primary Wave』で市場の反応を見極めなければならない。サンプル提供を通じて、各店舗での評価を細かく分析し、改善点があれば、迅速に対応する。そして、もし我々のビールが『他にはない価値』だと認められれば、発注を獲得できる。それが、今日得た大きなチャンスだ。」

 

佐川はそれに続き、「全体として、今回の販路拡大は、単なる売上向上だけでなく、ジオフィジクス・ブルーイングのブランド力強化につながるものです。もちろん、価格面での指摘は重いですが、我々が品質で勝負している以上、納得してもらえるはず。今後、さらに詳細なデータをもとに、プロモーション戦略もブラッシュアップしていきましょう。」

 

蓮見は熱意を込め、「俺たちの情熱と品質を直接体験してもらえば、必ず理解してもらえる。これからも、どんどん現場に出てフィードバックを集めます。」と力強く語った。

 

青山は深く息を吸い込みながら、皆の意見に耳を傾けた。「このままでは厳しいという意見もあるが、一店舗の成功事例が、他店舗への良い影響を与えると信じています。今日のあのオーナーの反応が証明している。まずはその成功例を確固たるものにする。それが、我々の次なる一歩に繋がるはずだ。」

 

会議室には、熱い情熱と覚悟が漂い、全員が新たな挑戦に向けて一致団結する決意を新たにした。

 

――――――

 

その日の終業後、青山は深夜の街を歩きながら、今日の出来事を反芻していた。

 

「この『Primary Wave』は、まだまだ売り上げの面で課題がある。しかし、一部の店舗で好評を得たあの瞬間を思えば、俺たちのビールには確かな可能性がある。あのオーナーの熱意、鈴木や佐川、そして蓮見の意見…全てが未来への指針だ。」

 

青山はふと、夜空を見上げながら、冷静に自分自身に語りかけた。「我々は、単なるビールメーカーではない。文化を創り、未来を切り拓く存在だ。次なる一歩を踏み出すために、今日の失敗も成功への糧にする。そして、全国の人々に、ジオフィジクス・ブルーイングのビールの素晴らしさを知ってもらおう。」

 

その夜、IPA本舗の会議室で交わされた熱い議論と、各店舗からの厳しい評価、そして一店舗での大きな成功例が、ジオフィジクス・ブルーイングの未来への大きな転換点となるのは間違いなかった。

 

翌朝、営業チームは新たな目標に向け、各自の役割を再確認しながら、また次なるサンプル訪問に出かける準備を整えた。

 

「どうする、青山!」佐川の問いかけが響く中、青山は静かに、しかし確固たる声で答えた。「俺たちは、これからも情熱を持ってこのビールを広める。『Primary Wave』で、日本中に新たな波を起こすんだ。」

 

外では、春の日差しがやわらかく輝き、未来への希望が静かに、しかし確実に芽生えていた。

【登場人物】

青山・・・IPA本舗店主/ジオフィジクスブルーイング社長

佐川隆一・・・投資ファンド社員/ジオフィジクス専務

蓮見一郎・・・ジオフィジクス営業主任

鈴木・・・ジオフィジクス営業部員

山田・・・ジオフィジクス営業部員

高橋・・・ジオフィジクス営業部員

続きはまた今度